RPAの導入前に、だれもが不安に感じるのが「失敗」です。
現在ではデスクトップ型やクラウド型などの、比較的安価に始められるRPAの選択肢が増えてはいるものの、トータルで見るとコストは決して安いものではありません。
数百万円以上の費用をかけて導入したのに、「業務が自動化されるどころか、トラブルばかりでかえって生産性が下がってしまった」なんて問題は回避したいところです。
RPAの導入に関する失敗は「RPAへの過度な期待」や「導入計画のミス」がほとんど。
つまりRPAについて正しい見識を持ち、社内で十分にディスカッションを行うことで、失敗を回避できるということです。
この記事では、RPAによる業務自動化を失敗せずに、導入するためのステップについて解説します。

ステップ1:RPAのメリット・デメリットを知る

失敗せずにRPAの導入するためには、あらかじめメリットとデメリットを知ることが大切です。
デジタルレイバーとも呼ばれ、ホワイトカラー層が従事していた業務の大半を自動化できるともいわれるRPAですが、決して万能ではありません。
まずはRPAの特徴を知り、自社の業務にどんなメリット・デメリットがあるかを慎重に検討しましょう。

RPAメリット:生産性の向上

RPAを導入することで、生産性が大幅に向上する可能性があり、つぎのようなメリットがあります。
1. 単純で大量の作業から解放される
2. これまでの環境がそのまま利用できる
3. 人よりもコストが圧倒的に低い
4. プログラムの知識なく現場で運用できる
5. 社員が本来の仕事に集中できる
生産性を上げるために、RPA以外の業務システムを採用することや、業務フローを見直すことも手段のひとつです。
ですがそれでもRPAが期待されているのは、それだけ優れた仕組みであり、業務を一変させる可能性があるからだといえます。
これまでは技術的に解決できずに、生産性が低いのにもかかわらず、人がやらなければならなかった業務から自由になれるのです。

メリット1:単純で大量の作業から解放される

RPAを導入することで、社内の単純かつ大量の作業から解放されます。
業務に必要ではあるものの、決してお金を生み出すことに直結しない、大量の単純作業に悩んでいる社員が、世の中にどれほどいるでしょうか。
営業担当であれば、本来の仕事は競合他社に勝つための戦略を考え、よりたくさんの顧客に会うことです。
ですが報告物や社内向けの資料作りに、相当な時間が取られ、機会損失をしている光景は、多くの企業で見られます。
事務職でも同様に、情報を大量にコピペして貼り付けるといった非生産的な業務で、やるべき業務に着手できていない、なんてこともよくあります。
この状態が続くと、いつしか作業をする自体を、仕事と錯覚してしまうことになりかねません。
RPAはこのような問題をすべて解決できます。

メリット2:これまでの環境がそのまま利用できる

RPAはマウス操作やタイピング、ショートカットまで、人が操作するのと同じように業務ができます。
ウェブから特定の情報をコピーし、EXCELを開いて指定したセルに貼り付けするなど、過去のシステムでは実現できなかったことが可能です。
一般的な業務システムでは、連携できるソフトやツールが限られていることがほとんどで、システムの導入に合わせてソフトの変更なども必要でした。
ですがRPAは、大半のソフトやシステムをそのままロボットに操作させられるのため、現在の環境をそのまま利用できます。

メリット3:人よりもコストが圧倒的に低い

RPAはデジタルレイバー(仮想知的労働者)と呼ばれ、その名前の通りシステムであり労働力でもあります。
そして一般的な労働者よりも、遥かに低いコストで、しかも24時間働き続けることが可能。
人を雇用する場合、給与以外にも教育・心身のケア・福利厚生まで、目に見えないコストが発生しています。
ですがRPAには、そのようなコストは一切不要です。
慢性的な人材不足も解消できる可能性があります。

メリット4:プログラムの知識なく現場で運用できる

RPAは人が操作する工程を録画するように設定できるなど、プログラムの知識がなくても運用可能です。
一般的な業務システムでは、仕組みや運用の変更に、プログラムの知識がなければ対応できず、細かな変更が困難でした。
ですがRPAでは、まるで新人の部下に業務を教えるように、運用を柔軟に変更するなどの管理ができます。

メリット5:社員が本来の仕事に集中できる

単純作業から解放されると、社員は本来やるべき仕事に集中できます。
営業担当は客先へ出かけ、事務員はより高度な業務に注力し、こうして会社の生産性は向上。
実績が出ると評価され、評価されるとモチベーションも上がり、プラスのスパイラルになるとますます生産性は上がるでしょう。

RPAデメリット

RPAにはメリットだけではなく、デメリットも存在します。
• 仕様変更で正常な動作をしなくなる恐れがある
• ロボットが止まる恐れがある
• ブラックボックス化して業務が分かる人がいなくなる
どれも事前の対策によって、予防できることではありますが、導入の規模や依存度が大きくになるほどリスクに。
RPAは人の業務を自動化してくれる便利なものですが、失敗を避けるためには綿密な導入計画が必要です。

デメリット1:仕様変更で正常な動作をしなくなる

RPAはPC画面上の画像・オブジェクト・座標を対象として作業をするため、仕様変更があると正常な動作をしなくなることがあります。
単純にエラーとして止まるだけならよいのですが、誤った結果を出力する動作を繰り返すことになると、修正に大幅な時間を取られることも。
ロボットが関わる業務に、仕様やフローの変更が発生する場合、動作のテスト・確認が必要です。

デメリット2:ロボットが止まる恐れがある

RPAは24時間業務を続けることができますが、導入するベンダーによっては、PCがシャットダウンしてしまうと業務が止まる場合があります。
PCはセキュリティ上の問題から、自動的にシステム更新することや、システムのエラーによって自動的に再起動がかかることも。
そのためロボットの動作は、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。
推奨はされませんが、自動更新をオフにする、定期的に業務報告メッセージを自動送信する、といった対策が考えられます。

デメリット3:ブラックボックス化して業務が分かる人がいなくなる

RPAで自動化してしまうと、その作業のフローを分かる人がいなくなり、ブラックボックス化してしまうリスクがあります。
そのためRPAで自動化を行う際に、明確な業務フローをマニュアル化し、それをベースにRPAの設定を行うことで回避できるでしょう。

ステップ2:RPAの情報を集めて準備する

RPAについてより詳しく知るために、いろいろな場所や資料で情報を集め、実際に触ってみることをおすすめします。
本格的な検討に入る前に、念入りにリサーチしておくと、社内への説明や起案がしやすくなるでしょう。

ウェブサイトや書籍などでリサーチ

当サイトを含めたウェブサイトや、書籍などでRPAについてリサーチしておくと、社内に導入した後のイメージをしやすくなるはずです。
現在では、RPAに関する多くの書籍も出版されているため、ぜひ活用しましょう。
もちろん当サイトだけでも、RPAについて多くの情報を学べます。

セミナーなどへ出席

RPAについて、ある程度の理解が深まってきたら、セミナーなどへ出席するのもよいでしょう。
実際にベンダーや導入支援をしている企業の話を聞くことで、さらにイメージしやすくなります。

成功事例・失敗事例から学ぶ

RPAの導入で、大きく成功した企業はたくさんあります。
これらの成功例は、セミナーや資料請求でも多く見つけることができます。
たとえば自社ウェブメディアの人件費の削減に成功した会社の事例。
スタッフが取材してきた、テキスト・画像・動画などのデータを、もともとはたくさん雇ったアルバイトに数百時間以上もかけて作業してもらっていたそうです。
この作業はRPAの導入によって、ほとんどすべてをロボットで自動化でき、大幅なコスト削減に成功しています。
もちろんリサーチしていく中で、失敗事例も知ることができるはずなので、こちらも貴重な例として知っておくとよいでしょう。

ステップ3:RPAを試験運用・テストする

他社の成功事例・失敗事例はとても参考になりますが、なによりも事例として参考になるのは、自分自身の体験です。
そこである程度の情報が集まり、RPAについての理解が進んだら、実際に自分の業務に自動化を使ってみましょう。
自分の業務が自動で動く様子や成功例は、社内でのプレゼンや説得にも必ず役立ちます。

RPAを試験導入して自分の作業を自動化してみる

UiPathやBizteX cobitなどのベンダーでは、試験的に導入することも可能です。
これらの評価・試用版のソフトを使い、自身の業務の一部を自動化してみましょう。
使ってみることで、どんな業務に応用できそうか、反対に向いていない業務はどれか、といったイメージができるはず。
また実際に運用が始まると、担当の現場社員がロボットを運用しなければならないため、それが可能なのかの判断にも役立ちます。
動作させてみたあとに、何がよかったか、何が問題だったかを振り返ることも大切です。

社内の協力者の業務を自動化してみる

自分で試してうまくいったら、社内の協力してくれる人の業務も自動化してみるとよいでしょう。
この時に操作をレクチャーして使ってもらうと、社内の人が手軽に使えるかのテストにもなります。
設定だけではなく、実際に業務を自動で動かしてみた感想も聞けるとさらによいでしょう。

ステップ4:RPAの導入計画を立てる

念入りに調査をして、実際に自社でも活用できそうだと判断したら、本格的な導入に向けて計画を立て始めます。
失敗のないRPAの導入には、社内全体に理解してもらうために、計画がとても大切。
計画を作り、導入までに何をするべきかを具体的にしましょう。

①RPAの情報を集める

これまでにもRPAのリサーチを十分行ったと思いますが、ここからは具体的な導入に向けての情報収集です。
RPAベンダーの種類や特徴、価格などを明確にするために調査をしますが、積極的にベンダーや代理店などに相談を持ちかけ、アドバイスをよいでしょう。
できれば複数の事業者から情報を集めるのが理想で、この段階で自社との相性を考慮しながら、ある程度ベンダーを絞り込みます。
また社内の現場責任者や担当者と、ヒアリングやディスカッションをしておく必要があるでしょう。
それぞれの部署のどんな業務で活用できそうか、何が障害なのかを打ち合わせます。

②RPAの導入を企画する

集めた情報をベースに、導入の手順・スケジュール・作業・運用体制・費用・費用対効果などを盛り込み、資料にまとめます。
• RPAの概要・市況
• 自社の業務への活用案
• RPAの成功事例
• 社内業務のヒアリング状況
• 社内での試験・テスト報告
• 費用対効果
• 導入のコンセプト
• 運用の体制図
一例ではありますが、このような情報をまとめると理解を得られやすいでしょう。
世の中でRPAがどのような状況にあるのか、自社でどのように役立てられるのかなど、誰もが感じる疑問の答えを、先回りして準備しておくことがポイントです。

③社内へ提案する

できあがった資料をベースに、社内へ提案します。
稼働が始まると、実際に運用をするのは現場の担当者たちです。
そのため決済者だけではなく、現場の担当者まで巻き込んだ提案が求められます。
強硬に導入を進めようとすると、反発もされることにつながるため、資料をベースにプレゼンしながら質疑応答を重ねて、最終的な疑問を解決すしていくことになるでしょう。
あらかじめ各部署のキーマンに、根回しをしておく必要もあるかもしれません。

ステップ5:RPAを導入して稼働させる

社内への提案がうまくいき、導入の方向に進みはじめたら、ようやく本格的なスタートです。
ここからがRPAの本導入に向けての本当のプロセス。
うまく運用が開始されるまでには、多くのトラブルが発生するはずですが、ここを乗り越えれば必ず報われるはずです。

①RPAベンダーの選定

まずはRPAの選定に向けて、複数のベンダーとのオリエンテーションを実施します。
現在検討している業務の自動化内容などをディスカッションし、ベンダーからの提案を受けましょう。
金額や提案内容、受け答えなどから、自社に最適なRPAベンダーを選定してください。

②インストール・ハンズオン

RPAを実際にインストールし、ハンズオンをしましょう。
触ってみたり、テスト的にロボットを動かしてみたりと、操作に慣れつつ興味を持ってもらいます。
また触ってもらうだけではなく、実際に操作の説明やレクチャーも必要です。
なおクラウド型やデスクトップ型のRPAであれば、比較的導入がシンプルですが、オンプレミス型であれば、大規模な導入作業が必要になるでしょう。

③ロボットの作成と運用

ある程度は操作に慣れてもらい、興味を持ってもらったら実際にロボットの作成に入ります。
ロボットの作成には、単純に作るだけではなく、これまで保留にしていた業務フローを見直すいい機会にもなるでしょう。
見直すべきだと感じていながらも、ついつい先延ばしにしている案件もあるはず。
ぜひこのチャンスを活用してください。
またロボットの作成で大切なのは、技術者がロボットを作ってしまわないことです。
現場の社員が、自発的にロボットを運用できることがRPAのメリット。
そのため技術者の支援のもとで、現場の担当者が中心となり、ロボットを作る作業を行います。
こうしてできあがったロボットをテストして、動作に問題がないかをチェックしましょう。
問題がなければ、実際に運用を開始しして様子を見ます。

④ロボットの修正

運用から時間が経てば、トラブルや仕様の変更が必ずといっていいほど発生するため、ロボットの修正や追加が必要となるでしょう。
できる限り現場の社員で対応することが理想ですが、難しいと判断された場合は、技術者と一緒に問題を解決します。
またそれでも解決できない問題も出てくるでしょう。
そのような場合は、ベンダーのヘルプやオンサイトサービスを活用して問題を解決します。

まとめ

RPAの運用までには、5つのステップを踏む必要があります。
• ステップ1:RPAのメリット・デメリットを知る
• ステップ2:RPAの情報を集めて準備する
• ステップ3:RPAを試験運用・テストする
• ステップ4:RPAの導入計画を立てる
• ステップ5:RPAを導入して稼働させる
このように長い道のりですが、RPAの導入に失敗しないためには欠かせないステップ。
情報収集やテストをせず、場当たり的に導入しても、想像と違い結果となり、生産性が上がらない場合も考えられます。
そのため多少時間をかけてでも「RPAの運用を成功させる」というミッションを、会社の全員で共有しながら進めましょう。