最近はAIやRPAについての話題が盛りだくさんです。今回は富士通株式会社(以下、富士通とする)の新しいソリューションについてのお話しです。富士通は自社のAI技術の「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を搭載した「MICJET MISAIO 保育所AI入所選考」の提供を開始すると今月の12日に発表しました。これは業界初の試みであり、非常に期待が高ります。

MICJET MISAIO 保育所AI入所選考とは

今回、富士通が発表した「MICJET MISAIO 保育所AI入所選考」は自治体の職員向けの保育業務支援ソリューションです。これまでは、システムから出力した資料を使って人間の手で行っていた選考作業にAIを導入して、選考にかかっていた手間や時間を削減するのが目的だといいます。

選考にかかっている時間を短縮することで、選考に漏れた場合は別の保育所の利用検討を早期に行えるなどといった、結果的には保育所に入所できない人を少なくすることにつながるのではと考えているとのことです。製品化する前には、滋賀県の大津市など30以上の自治体で実証実験を行い、システム面、導入面での課題などを検証した上でリリースしました。この実証実験では、富士通製の既存システムとの連携および、他社のシステムの連携なども検証しています。

住民サービス向上への取り組み

MICJET MISAIO 保育所AI入所選考は、より保育所を必要としている人を優先するためのソリューションでもあります。各自治体が個別に定めている保育所利用調整指数や保育所の空き定員情報など、入所選考に必要な情報を子育て支援システムから保育所AI入所選考に取り組みます。データの抽出元となる子育て支援システムは、実証実験段階において富士通製はもちろん、他社製のシステムでも連携を試しており、富士通製、他社製のどちらでも連携できることを確認したといいます。

データを取り込んだあとは簡単で、実行ボタンを押すだけで選考を実施します。これまでは、子育て支援システムからデータをプリントアウトして、人が協議して選考してきました。中核市の場合は、1000時間もかけて数千人規模の選考を行っていたといいます。MICJET MISAIO 保育所AI入所選考を利用したある自治体では、10日以上かかっていた選考時間が数十秒になることから、申込を行った住民への通達時間を大幅に短縮できることが見込めるとのことです。

選考の是非を早期に通知できるようになることで、結果として住民サービス向上につなげることができます。選考の経緯については、AIはブラックボックスと言われていますが、今回のシステムでは希望の施設に入所できなかった理由を説明できるような支援機能を提供しています。これにより、選考のプロセスを明確に説明できるようになります。
窓口での対応や住民からの問い合わせへの対応を円滑に行うことで、透明性の高い選考を実現できるようになるといいます。

富士通では2020年度末までに、今回の関連ビジネスで売上20億円を目標としているとのことで、導入価格は自治体ごとの個別見積もりになります。

AIだけでなく、RPAなどの最新技術で業務改善を支援

今回の新システム導入の前提として富士通では、多くの自治体の実にさまざまな業務用にAIであったりRPAを提供してきました。これらの最新技術を単品で提供するだけではなく、トータルな業務ソリューションの中に織り交ぜて提供することで、業務改善が実現するケースが多いそうです。

富士通の強みは、行政や自治体向けに幅広い業務ソリューションを提供ているところにあります。デジタルコンサルティングを活用して、業務ソリューションとデジタル技術を組み合わせたシステムを提供しています。しかし、導入事例を紹介してもほかのお客様にピッタリとはまるようなケースはほとんどないそうです。総合的なサービスを提供していく中で、業務改善が実現するという点が現実的だといいます。

これまで自治体向けに提供してきたAIやRPAの導入事例としては、東京都北区の介護給付費市況の適正化のためにAIを導入した例があります。北区の過去の指導監督記録を機会学習して、AIが出したチェックリストを実際の記録を照合して有効性を検証するというものでした。

また、とある市では特別徴収移動届出書の入力効率化のためにRPAを活用して、OCRで読み込んだシステムの入力を自動化したという事例があります。従業員の転勤や退職の際に、事務所から市民税課に郵送される特別徴収移動届出書をスキャナーでOCRデータ化して、システム登録を行う処理を自動化しました。

2018年10月に富士通ではこのような事例をもとに、公共工事の設計や積算業務を支援する「ESTIMA」にAIを搭載したシステムをリリースしました。工事費総額の積算結果の品質向上および結果確認にかかる作業負荷の軽減を実現することをアピールしています。

今回のご紹介したMICJET MISAIO 保育所AI入所選考は、先述したESTIMAに続く最新テクノロジーを公共機関向けの業務システムに組み込んだ製品の第2弾となります。今後も富士通では、実証実験などを行い現場の声を反映しながら、最新テクノロジーを公共業務へ導入していくことを進めていくとのことです。