RPAを導入するのはホワイトカラーですが、その中でも金融系や医療系とさまざまな業種があります。今回ご紹介するのは、保険会社である「あいおいニッセイ同和損保」がRPAを導入して50人規模の作業を最小で4人まで削減できたという事例です。

2018年9月4日、非常に強い台風21号が関西地方中心に甚大な被害を及ぼしました。これより増加しているのが、損害保険の支払い請求です。日本損害保険協会が発表したデータのよると、台風21号関連での支払い請求は9月12日の時点で48万5659件にもなるそうです。

さらに同月には、こちらも強い台風24号が近畿地方から東北地方にかけて、大きな被害を及ぼしました。このため、損保各社では支払いのための事務作業が急激に増大し、その対応に追われています。この中で、あいおいニッセイ同和損保では、東京都内に災害対応拠点を設置して、派遣社員などの外部スタッフや社員などを合わせた、過去最大規模である500人態勢を構築しました。そして、RPAを事務処理に導入することにより、短期間で劇的な業務効率化に成功しました。

RPAを導入してたった2日で挙げた成果とは

今回の災害対応における事務処理にRPAを導入したことで、なんと通常40~50人規模の作業を最小で4人で回せるようになったそうです。しかも、RPAを導入してたった2日でです。どのような事務処理にRPAを導入したのか?の前に、その業務プロセスから見ていくことにしましょう。

平常時の場合の事故受け付けはコールセンターで行い、必要な作業はシステム化されています。しかし、今回のような大規模の災害が発生して、請求が一気に増えるとコールセンターのキャパを超えてしまい、緊急対応拠点が設置されることになっています。ただここでは、コールセンターと同じレベルのインフラを用意することは困難であり、人の手で行う作業が増えるので、通常とは異なる業務プロセスをとる必要があります。

流れとしては、まず被災した契約者からの連絡を受け付けます。次に、必要な書類を印刷して、契約内容や保険料の入金状況を確認します。そして、契約、入金照会で間違いがないことが確認できたら、事故についてを基幹のシステムに登録を行い、契約者に連絡して費用の見積もりを依頼します。契約者が見積もりを受け取り、フィードバックが完了したら、その内容を確認して、支払う保険金の計算後、顧客に支払うといった形です。

以上の流れの中でRPAを導入したのは「基幹システム登録」の部分です。当初は契約者からの連絡は手書きで紙に書き、それからデータ入力をするという手段で行っていました。なぜなら、災害対応では電話対応をしている従業員の中には派遣社員など、保険に関する専門的な知識がない外部スタッフもいます。このため、火災保険や自動車保険などの商品があり、かつさまざまなパターンがある契約内容について、その場で電話をしながら判断するのが難しいからです。ただ、これでは契約、入金照会待ちのデータであふれ、契約者を長い時間待たせてしまうことになります。

そこで、Excelを使ってマクロを組み、台風災害に特化したフォーマットを作成しました。契約者から連絡を受けた段階で、従業員にフォーマットへ入力させ、データがたまると自動でRPAへ送り、優先順位をつけてExcelに整理するようにしました。そして、担当者がそれを確認し、契約、入金照会すると判断したものについてRPAが契約や入金の状況の情報を取得して、事故状況と合わせて紙にプリントアウトします。最後に担当者が確認をいれて、問題がないものをRPAが事故登録を行っていく、という流れです。

ところどころで人が確認するところが入っているのは、完全な自動化を短期間で行うのは難しいのと、契約者から連絡が入るピーク時を逃してしまうこと、簡易的な開発でも業務の品質を担保するため、というのが理由だそうです。

今回のRPAの導入について現場の社員たちは、「ロボットを導入するというので、ペッパー君のようなものが来ると思った」「手作業で行っていた作業が一瞬で終わって感動した」という感想を挙げていたそうです。また、今回のことを受けてRPAを日常業務にも導入していくことを検討するとのことです。

このような事例を見る度に、RPAの有用性や将来性を感じます。ただ、やはり「ロボット」と聞くと、実体のある人型のものイメージする人が多くいるようです。今後、RPAが拡充していくにつれて、いずれは「ロボット」と聞くとRPAをイメージする人が出てくるかもしれませんね。